ECサイトの効果的な分析方法とは?項目/指標、分析ツール、GA分析について解説
ECサイト運営を成功へ導くには、現状理解及び次への施策ために「アクセス分析/売上分析」などは必要不可欠です。しかし、分析しただけではEC運営に役立てることが難しいです。分析した結果を次の施策へ活かし、さらに売上を伸ばしてこそ、EC分析が役立ちます。
ただ、「どうしたら効果的なECサイト分析ができるのだろうか」「どのように分析を活かせばいいのか分からない」とお悩みのEC担当者様もいらっしゃるでしょう。
今回は、ECサイトの売上を伸ばすための効果的な分析方法や分析項目/指標、おすすめECサイト分析ツール、使用率の高いGoogleアナリティクスの分析について解説いたします。
目次
ECサイトの分析方法
ECサイトの分析をする際、「データをまとめて、そのデータを参考に次の施策を決める」という流れで考えている方が多いかと思います。しかし、その流れでは効果の高い施策をアウトプットすることは難しいです。
次の流れで分析をすると、課題を洗い出しやすく、効果的な施策のアウトプットも出来ます。
・仮説の立案
・仮説のデータ検証
・施策の考査
・施策の実施
・施策効果の検証
上記を詳しく説明いたします。
仮説の立案
ECサイトの分析をする際、データとにらめっこしながらどの数値に改善の余地があるのかを見極めようとすると思います。
しかし、データから改善施策を導き出すよりも、ユーザー視点に立ち、ECサイトを利用してみることから発見される課題の仮説を立案するほうが先です。
つまり、「データより先にECサイトを観る」ことを最初に行います。どんな些細なことでも構いませんので、ECサイトを操作してみて感じられる課題を洗い出しましょう。
仮説のデータ検証
課題の洗い出しができれば、「その課題が本当に課題なのかを確認する作業」を行います。データは課題が課題であることを検証するために確認します。
例えば、「TOPページのヘッダーメニューの表示カテゴリが分かりにくい」という仮説を立て、GoogleアナリティクスでTOPページの直帰率やTOPページからどのページへ遷移しているのかを確認します。
もし、直帰率が高く、ヘッダーメニューに表示されているカテゴリ―以外のページへの遷移が多ければ、「ヘッダーメニューの表示カテゴリが分かりにくく、使用されていない」ということが分かります。
もし反対であれば、課題として挙げるのは適切ではないと判断できるわけです。データはあくまでも仮説で導き出した課題を検証するために使用しましょう。
施策の考査
課題の検証が済んだ後、課題解決のための施策を考査します。課題を解決することによる指標改善の効果が高い順に優先度を付けます。優先順位に沿って、課題の施策を考査していくと良いでしょう。
施策の実施
考査した施策を実施します。優先順位を付けた課題を一つずつ解決していくことで、効率的に改善を図ることができるでしょう。
施策効果の検証
施策を実施したら、「その施策がどのくらいの効果があったのか」「課題解決にどれくらいの効果があり、課題解決まで至ったのか?」を検証します。検証方法はGoogleアナリティクス等を用いて行いましょう。
ECサイトを分析する際の12つの項目/指標
ECサイトの分析方法を理解したところで、分析する際にチェックしておきたい指標(項目)をご紹介いたします。
特に重要なのが売上の計算式です。ECサイトの売上の計算式は「アクセス数(セッション)×コンバージョン率(CVR)×平均顧客単価」で成り立ちます。主にこの3つの数値を改善することが売上アップに繋がりますが、その周辺の数値への理解も必要不可欠になりますので、合わせてご紹介いたします。
利益率
利益率はECサイト運営するのであれば、特に重視したいKPIのひとつです。利益率の計算式は、「利益率=利益÷売上」です。利益の計算式は「売上-費用」です。
費用とは、商品の仕入れ額・在庫額・販売管理費を指します。利益率はECサイトに限らず物販において最重要KPIです。必ず追いかけましょう。
売上高
売上はこのセクション冒頭でお話した通り、「アクセス数(セッション)×コンバージョン率(CVR)×平均顧客単価」に分解することで、計算することができます。
売上高が低い原因は、前述の3つの指標のどれかが低いためです。そのため、3つの数値を改善することで売上アップを見込めます。もちろん、どの数値を改善するかは売上への効果の高さ(作業対効果)を考慮する必要があります。
アクセス数(セッション数)
当記事では、「アクセス=セッション(ユーザーがサイトへ訪れてから離脱するまでの一連の流れ)」と定義します。記事によっては「アクセス=ページビュ―(PV)」と定義している場合もありますので、ご注意ください。
アクセス数が少ないと、そもそも購入をしてくれる可能性の高いユーザーの母数も少なくなります。特にECサイト開設したばかりはアクセスが少ないため、まずはアクセス数アップを考えた施策が必要です。
集客方法は様々ですが、SEO対策、リスティング広告、Googleショッピング広告、アフィリエイト広告、SNSなどが主流の方法です。
以下にECサイトの集客方法について詳しく解説しておりますので、是非合わせてご覧ください。
コンバージョン数(CV)
コンバージョンとは、お問い合わせや資料請求、商品購入などサイト運営者が定義したユーザーが最終的に起こしてほしい行動ゴールのことです。
ECサイトのゴールは「商品購入」であることがほとんどですので、商品購入がコンバージョンと定義されます。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率とは、アクセス数に対してどれだけの人がコンバージョンしてくれたのかを示す指標です。計算式は「コンバージョン数÷アクセス数」です。
アクセス数が多いにもかかわらず、コンバージョン数が少ない場合は、アクセス数改善よりもコンバージョン率改善を目指すのがおすすめです。
平均顧客単価
平均顧客単価は、商品・サービス購入1回あたりでどれくらいの金額を平均的に支払われるのかを示す指標です。
計算式は「顧客単価=売上高÷売上件数」です。
売上高や利益率が低い場合は、平均顧客単価を改善する施策を行いましょう。
生涯顧客単価(LTV)
生涯顧客単価(LTV)とは、顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益を示す数値で、Life Time Valueの略語です。計算式は、「平均購買単価×購買頻度×継続購買期間」です。
ECサイトの安定的な売上を維持するには、LTVを高める必要があります。また、LTVが高い顧客は高単価かつ新規顧客を口コミで呼び込んでくれる要因になるため、非常に重要な要素になります。
カゴ落ち率
カゴ落ち率とは、商品をカゴに入れたが購入まで至らなかった確率を表す指標です。例えば、300個の商品がカゴに入っていて、100個のみ購入完了までした場合は、かご落ち率は67%です。
計算式は「購入完了数÷カゴに入った商品点数」です。
かご落ちの原因は、「思っていたより送料が高すぎる」「会員登録が面倒」「チェックアウトのプロセスが長すぎる」「クレカ情報の入力に不安があった」「購入方法が限られていた」「後から見直すため、ただカゴに入れただけ」など様々です。
プッシュ通知でかご落ち減らしたり、多種多様な決済方法を取り揃える、送料も商品価格に含める、まとめ買いで送料無料など対策をすることで解決いたします。
かご落ちを改善することでコンバージョンが増加するため、コンバージョン率の改善に役立ちます。
離脱率
離脱率とは、あるページを含む全てのセッションのうち、そのページがセッションの最後のページになった割合を表す指標です。つまり、どのページでユーザーがサイトから離れたのかを示します。
計算式は、「当該ページで離脱したセッション数÷当該ページを含むセッション数合計」です。
離脱率の高いパターンをはじき出し、コンバージョンに繋がるユーザー行動を特定し、改善をすることでコンバージョン率を改善することが可能です。
CPA
CPAとは、1件のコンバージョンを獲得するために必要な単価のことです。「顧客獲得単価」と呼ばれます。主に広告の指標になるため、計算式は「広告費÷コンバージョン数」となり、広告費が計算に用いられます。
広告を出稿して売上を獲得しても、1件コンバージョン獲得するための単価が高くなると、利益が圧迫されてしまいます。そこでCPAの数値を着目し、商品購入単価を管理し、利益を獲得しつつ、コスト管理を行います。
ROAS
ROASもCPA同様に広告で用いる指標のひとつです。ROASは広告費に対してどれだけの売上を獲得できたのかを示します。計算式は、「売上÷広告費×100(%)」です。
投資に対してどれだけ売上を回収できたかをシンプルに把握するための指標です。しかし、利益までは見えてこないため注意が必要です。
ROI
投資に対する成果を測る際に用いられるもう1つの指標が、ROIです。ROIとは、広告費など投資したコストに対する利益効果を測る指標のことです。
計算式は、「(売上-売上原価-投資コスト)÷投資コスト×100(%)」です。利益を投資コストで割ることで、利益ベースで広告効果を測ることができます。
ROASでみると売上回収率が良くても、ROIを見ると利益回収率は100%以下で赤字になっていることもよくあります。利益ベースで考える場合は、ROIを指標として活用しましょう。
おすすめのECサイト分析ツールの紹介
ここでは、ECサイトにおすすめのECサイト分析ツールをご紹介いたします。
【無料】Googleアナリティクス(UA/GA4)
Googleアナリティクスはサイト分析の代表的な分析ツールのひとつです。無料で使用でき、ECサイト上のさまざまなデータの測定・可視化が可能になるため、効率的かつ効果的な分析ができるようになります。
ただし、タグの設置やコンバージョン測定の設定など技術的な作業が必要になるため、社内の技術者に依頼するか、外注で設定してもらいましょう。
また、2022年現在においてGoogleアナリティクスには、「ユニバーサルアナリティクス(通称UA)」と「Googleアナリティクス4(通称GA4)」が存在します。
ユニバーサルアナリティクスは2023年7月から計測をしないことが公式発表されているため、今からアナリティクスを設定する場合は、GA4を選択しましょう。
【無料】Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソールは、Google検索エンジンからのユーザーがどんなキーワードを検索して、サイトへ訪れたのかが分かるツールです。こちらもアナリティクス同様に無料の分析ツールになります。
主にSEO対策の際に用いるツールで、実際にどのようなキーワードで流入されているのかが分かるため、そのキーワードに合わせたSEO対策を施すことで、さらなるアクセス獲得へ繋げられます。
【無料】Looker Studio(Googleデータポータル)
Looker Studio(旧Googleデータポータル)は、事業者が蓄積したデータをピックアップし、分かりやすい見た目で整理してくれるツールのことです。BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとも呼ばれています。
Googleアナリティクス、Googleサーチコンソール、Google広告などのGoogleサービスや、他サービスのデータをレポート形式でまとめることができます。
個人レベルのデータ分析であれば、レポートは必要ありませんが、上司や取締役への報告の際にレポートとしてまとめるのに便利なツールです。
Looker Studio(Googleデータポータル)はこちら
【無料】Microsoft Clarity
マイクロソフトが提供する、無料かつ高性能なヒートマップです。ヒートマップとは、サイト上でのユーザー行動を可視化したものです。例えば、ページの中で閲覧者の興味が集中しているのかはどこかなどが一目で分かります。
Microsoft Clarityの主な機能は3種類で、「セッションの録画」「ヒートマップ」「インサイトの確認」となっています。ほぼリアルタイムで、ECサイトを訪問したユーザーの動きを分析できるツールです。
GoogleアナリティクスによるECサイトの分析方法
GoogleアナリティクスでECサイトを分析する際、eコマース機能を用いて分析することをおすすめいたします。
eコマース機能を導入していれば、「Emailから流入した訪問者がその商品をよく購入している」「Twitterで実施したキャンペーンが対象商品の購入急増につながっている」といった情報まで取得することができます。
つまり、購入までの導線や売上アップへの施策出しの解像度がグッと上がります。商品ごとの収益をGoogleアナリティクスで取得できるようにすれば、どのページが収益を獲得しているのか、どのデバイスでどの商品が売れているのかなどが明確になります。
eコマースの機能を導入し、Googleアナリティクスで解像度の高い分析を行いましょう。
ECサイトを分析し、収益最大化を目指そう
ECサイトの分析をする際は、初めにデータを見るのではなく、ユーザー視点になり、ECサイトを操作して、サイト離脱や回遊性、コンバージョンが獲得できない原因を仮説レベルで立案しましょう。
その後、その仮説をデータを用いて検証し、改善すべきかどうかを見極めます。優先順位を付けて売上にインパクトがある課題から改善を実施していきましょう。
社内にECサイト運営や分析に長けた人材がいれば良いのですが、多くのEC事業者様はそういった人材がいないと悩まれていることがほとんどです。そのような場合は、EC運営に詳しいプロに外注するのがおすすめです。
PULL-NETは、ECサイト制作〜運営が得意な会社です。多くのECサイトに携わりサポートしてまいりました。もし、EC運営にお困りでしたら、お気軽にご相談下さい。
HP・ECサイト制作及びWeb集客を得意領域とするWeb制作会社。1,000件以上の実績と創業16年間の経験から得たノウハウを基に、多くの企業様をサポートしております。制作及び集客の各工程のプロが社内に在籍している点が強み。
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